こんにちは。ピアノ教師・渡邊智子です。
東京の小金井市と三鷹市でピアノ教室を開いています。
ピアノ教室のHPなどで、「ソルフェージュ教えます」というフレーズを見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
今回のテーマは、その「ソルフェージュ」です。
ソルフェージュって何?なぜピアノ教室で取り入れられているの?ピアノを弾きたいだけなんだけど、ソルフェージュもやらないとダメ?
など、色々疑問をお持ちの方もいらっしゃると思うので、その辺りを解説していきたいと思います。
ピアノに限らず音楽を学ぶ上で、ソルフェージュができると役に立つことをご理解いただければ嬉しいです。
ピアノ演奏に役立つソルフェージュ
ソルフェージュって何?
ソルフェージュという言葉、聞いたことはあっても具体的に何なのかは分からないという方も多いと思うので、まず内容を知っていただくところから始めたいと思います。
ソルフェージュの内容を知ることで、ピアノの演奏に必要な理由も分かるはずです。
ソルフェージュとは↓
最初は旋律をドレミで歌う商法をさしたが、やがてフランスやベルギーで音楽家の基礎教育科目となり、音程、リズム、音部記号に習熟させ、あわせて聴音能力をみにつけさせるなどの訓練をさすようになった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
私が通っていた音楽学校では、ソルフェージュの授業と言うと「視唱」「聴音」がメインで、「音楽理論」の授業は別に設けられていました。
視唱(新曲視唱)とは、旋律を初見で歌うこと。音名(ドレミ)で歌います。音楽学校の入試科目にもなっています。
聴音は、旋律または和音を聴いて楽譜に起こすこと。
音楽理論は、音楽における文法のようなものと言われていて、音程や和声などを学びます。
ソルフェージュに音楽理論が含まれる場合もありますが、現在の日本で「ソルフェージュ」という題名が付けられた教本の内容は、視唱とリズムの練習になっていることが多いです。
ピアノを弾く時に役立つ理由
ソルフェージュの内容が分かったところで、ピアノ演奏への影響があることもご想像いただけたかと思います。
具体的には、ソルフェージュを練習することによって、以下のようなメリットが考えられます。
- 読譜に手間取らなくなる。
- 音間違いを聴き取る耳ができる。
- 正しいリズムが判断できる。
更に音楽理論もかじっておくと、音楽の構成が分かるようになりと効率よく覚えて練習できるという利点もあります。
ピアノは他の楽器と比べて同時に沢山の音を鳴らせるという特徴があるため、楽譜に書いてある音数が多くなりがちです。読譜が苦手な方は、楽譜を見ただけで心が折れてしまうこともあると思いますが、ソルフェージュで集中的に読譜の練習をすることで、そんな苦手意識の克服に繋がります。
また聴音力を鍛えると、自分で弾いた譜読みを間違えてしまった時も「なんか変な音がするから間違えてるかも」と気付けるようになり、練習の効率が良くなることが期待できます。
ピアノのレッスンでソルフェージュを取り入れる場合
このように、ソルフェージュは音楽の基礎を身に付けるためのものですので、当然ピアノを弾くためには必要になってきます。ピアノを初めて習う時には、楽譜の読み方を一緒に習う場合が多いと思いますが、これもソルフェージュです。ですので、「ソルフェージュ教えます」と掲げていないピアノ教室でも、自然にソルフェージュの要素は入っています。
ピアノのレッスンでは、弾くための教本とは別に書く教材のワークブックを取り入れている先生も多いです。特に子供のうちは、口頭で説明するだけでは分かってもらえないことも多いので、ワークブックに自分で書いて覚えていくのは有効な進め方と言えるでしょう。
最近は子供向けのかわいいワークブックが色々出版されていて、最初はドだけ書いてみる、次はレを書いてみる、といった具合に幼児でも使える程度の内容の教材もあります。少しレベルアップした教材だと、8分音符や16分音符の複雑なリズムや、音程や調性などの勉強が入ってきたりして、音楽の基礎知識が得られるようになっています。
ワークブックは家でやってくる宿題にできるので、ソルフェージュのための時間を特別に設けなくてもレッスンに取り入れやすく、多くのピアノ教室で使われています。
聴音は、その場で先生が弾いた音を書き取るので、レッスンの中で時間を取って行うことになります。幼児は書き取りが難しいので、先生がピアノで弾いた音を言う「音当てゲーム」のような聴音の方法もあります。
他にも先生によって様々な工夫をしながら、音楽の基礎となるソルフェージュをレッスンに取り入れています。
ソルフェージュの練習方法
ソルフェージュを独学したい方へ
楽器習っていたり、独学で練習している方で、読譜が苦手、リズムが分からないといった悩みを抱えている方は、ソルフェージュの力を自分で身に付けたいと思われるかもしれません。
ソルフェージュを独学できるかどうかは、学びたい内容と個人の素質によって変わってきます。何に関してもそうですが、独学の場合、自分で間違いに気付かなければ直すことができません。
一番難しいのはリズムの練習だと思います。合っているかどうか自分で分からないという方が多いです。
判断基準としては、メトロノームに合わせて演奏した時に合っているか判らない、合っていないのは判るけど自分が速いのか遅いのか判らないという方は、リズムを独学で練習するのは難しいと思います。
視唱については、ただ順番に音符を読むだけなら独学でも頑張れると思いますが、旋律のリズムが合っているか、また歌った音程が合っているかどうかは自己判断では危ない可能性があります。
聴音はCD付きの教本を買えば自分でできますが、レベルに合った教本を選ばないと全く分からないということになりかねません。
初心者の方は、「ドレ」「ドミ」「ドファ」を弾いてみて、それぞれの聴き分けができるかを試してみてください。全部同じ音に聴こえるような状態だと市販の教本を買ってきても進まないと思うので、まず2音か3音くらいの少ない音数で音程の聴き分けを練習してから教本に取り組みましょう。
音程の聴き分けやリズム感など、頭で理解するだけでは身に付かない感覚もあります。自分の聴音力やリズム感に疑問を感じたら、独学で頑張ってみるのも良いですが、客観的に見て指導してもらうという選択肢も考えてみてください。その方が早くて確実かもしれないです。
ピアノと一緒にできるソルフェージュの練習
ソルフェージュが必要だということは分かっていても、つまらなそうで気乗りしないという場合もあるかもしれないです。
そういう方は、ピアノで弾きたい曲を練習する時にソルフェージュの要素を入れてみてはいかがでしょうか?
好きな曲と絡めて練習することでモチベーションが上がりますし、その曲を上手く弾けるようにする手助けにもなります。
例えば新しい曲を練習する時、まず音符を声に出して読んでから弾くようにする。曲の中でリズムが難しい部分があったら、そのリズムを手で叩いてみる、など。覚えて弾けるようになった曲は、手を見ないで弾くようにするのも聴音力を鍛えるのに良いと思います。指を見ていると耳が使えなくなったりするので、目を使わず音に集中する練習をして耳を機能させてみましょう。
ソルフェージュを取り入れて色々な工夫をすることで、いつものピアノ練習に変化をつけてみてはいかがでしょう。よかったら試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。