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ピアノ教師の考え事を綴っています。

ピアノ発表会を終えて…本番と練習の違いを考えてみました。

こんにちは。ピアノ教師・渡邊智子です。

東京の小金井市と三鷹市でピアノ教室を開いています。

ピアノ教室 小金井 三鷹 武蔵境 | 渡邊ピアノ教室

 

ピアノ発表会を終えて…本番と練習の違いを考えてみました。

 

先週、滞りなく発表会を終えることができました。

関わってくださった皆様に御礼申し上げます。

 

毎回の事ですが、発表会を通して考えるのは、本番の難しさです。

講師という立場上、生徒さんたちが練習を進めていく過程からずっと見ていて、本番前のリハーサルも全部聴いています。

それを踏まえて本番を見ると、つくづく練習と本番って全然違うなぁ、と実感させられることが多くあります。

 

練習では何の問題も無く出来ていたことが、本番になると突然できなくなった。

そういう経験は、ピアノに限らず、様々な場面で誰もに起こることではないでしょうか。

そうなる原因は、緊張、不安、環境の違い、など色々考えられます。

ですが、そのための対策を講じていても、やはり上手くいかないことがあるのは何故?

完璧な解決策が無いことは分かっていますが(あったら誰も困っていないはずなので)、私なりに考察してみたいと思います。

 

楽器の違い 

ピアノの場合、ほぼ確実に楽器が違います。

会場に自前の楽器を持ち運ぶなんて、世界的ピアニストさんじゃないとできません。

百歩譲って、弾き慣れた楽器を使えることになったとして、それでも日によって楽器のコンディションは変わります。

特に今回の発表会は、当日あいにくの雨で(というか、その前から雨が続いていて)、ピアノにとっては過酷な状況でした。

当日の朝ホールに行くと、早くから作業してくださっていた調律師さんから「音が出ません!」との声…。午後の本番までに少しずつでも鳴るようになってくれたら、と願うような状況でした。(本当に音が出ないのではなく、本来の豊かな響きが出せないという意味です。)

実際弾いてみても鍵盤が重く、指の弱い子には辛いだろうなぁ、と予想される中でリハーサルが始まり、やはり楽器が鳴らない状態は続きました。

「鍵盤が重い」と言っても、ピアノを弾いたことがない方には何のことだか分からないと思うので、少し説明します。

ピアノは木材を使って作られているので、湿気を吸うと鍵盤が重くなります。要するに、鍵盤を押すのに力が必要になるということです。そうなると1回の打鍵に使う力が増えてしまうため、いつもより早い段階で指が疲れて動かなくなります。

普段から重めの鍵盤で練習していれば問題無いのですが、軽く触れれば音が出てしまうような楽器で練習していると、重い鍵盤に対応するのが大変になってしまうのです。逆に重い鍵盤に慣れている人は、軽い鍵盤の楽器が弾きにくいと感じることもあるので、どちらが良いとは言い切れないのですが…。

発表会などの本番では、当日その楽器に触れてみるまでどういう状態か分からない、そういう中で皆さん演奏しているわけです。

 

音の聴こえ方

それから、これは「楽器が違う」ということにも関連しますが、ホールなど本番の会場では音の聴こえ方が全く違うことがあります。

今回の発表会では、府中の森芸術劇場ウィーンホールを利用させていただきましたが、とても良く響くホールなので、演奏していて自分の音が出ていないように聴こえても、客席ではちゃんと聴こえている(結構大きく聴こえている)という現象もありました。

また、今回は無かったですが、残響が多く聴こえてしまうと、ミスタッチしたわけではないのに、違う音に聴こえることもあったりします。

耳はいつもの音を覚えているので、予想と違う響きが出てくると驚きます。実際、私は弾き始めた瞬間に驚いたことが何度もあります。その衝撃で、次の瞬間の動作が狂ってしまい、結果おかしな演奏になってしまうのです。

 

という訳で、楽器演奏に関しては、本番は練習と条件が異なることが大前提となります。ですから、練習で出来ていたことが本番で出来なかった、というのも特に気に病む必要は無いのですね。そんなこと気にしていたら、私なんて二度と人前で弾けませんし(笑)

 

本番中の思考

ここまでは、環境面について述べてきましたが、本番と練習とでは「自分自身」も変わってしまうことが多いと思います。

私の場合、本番になると妙に頭が冴えます。そして余計なことまで考えてしまうのです。例えば、次の音なんだっけ?とか…

子供の頃は自己分析ができていなかったので、そのための対策をせず、だいぶ痛い目を見てきました。最近ようやく自分の思考の癖が把握できるようになってきて、練習の仕方も 工夫するようになってきましたが。

逆に、本番になると頭が真っ白になるという人もいますね。

どちらにしても、練習時とは違った思考に陥ってしまうということに変わりはないです。

では皆さん、練習している時は何を考えていますか?

読譜を始める時は、鍵盤の位置や指使いなど考えることが色々あります。

ですが、指が慣れてくると、無意識に弾けるようになってしまうのです。ボーっとしていても弾けてしまうのですね。

そうなるくらいまで曲を身体に馴染ませることは大事だと思いますが、その状態で本番に臨むのは危険です。殆どの場合、そんなリラックスした状態で本番を迎えられることは、まずないからです。

それに、多少の緊張感があった方が良い演奏ができるはずですから、いくら慣れている曲でも、本番前には緊張感を持った状態で弾く練習をしておくことをお勧めします。

そして、私のように「本番余計な事を考えてしまう」という方には、本番中に考えそうな余計な事を予測しながら練習することもお勧めしておきます。

 

最後に

結局、本番と練習は違うものと割り切って、それを楽しむようにするのが一番だと思います。

立派なコンサートグランドで弾けること、響きの良いコンサートホールで弾けること、色んな人に聴いてもらえること、緊張したり不安になったりする自分、などなど、普段と違う事を全部楽しむようにしてみてください。

発表会を運営する側としては、参加した皆さんにとって良い経験になってくれることが願いです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。