楽器演奏は身体に良くない。
そんな話を聞いたことがあるでしょうか?
ピアノを練習しすぎて腱鞘炎になった人の話はよく聞くかもしれません。が、それだけではないのです。
例えば、ヴァイオリンは左手で持つので、左耳の近くに弦がある状態になります。そのせいで、ヴァイオリ二ストは左耳が悪くなりやすいそうです。
また、ヴァイオリンやフルートのように左右非対称な姿勢になってしまう楽器は、身体のバランスが崩れやすいという問題も抱えています。
ピアノ演奏と脱力
ピアノ演奏時の姿勢はどうでしょう?
- 座りっぱなし
- 常に腕が前に出ている
- ペダルは右脚で踏む方をよく使う(左右非対称)
人によっては、
- 腕や肩に力が入りやすい
- 首、頭が前に出やすい
とりあえず、パッと思い付いた事を挙げてみましたが、他にも思い当たるという方はいらっしゃるかもしれないです。
座りっぱなしで腕が前に出ているのは、デスクワークと似ていますね。
ですが私は、パソコンのキーを打ち続けるより、ピアノを弾き続ける方が楽に感じます。単に慣れもあるかもしれないですが、おそらくピアノを弾く時の方が腕を大きく動かせるので、力が抜けやすいのかなと思います。
演奏時に腕や肩に力が入ってしまう方は、しんどいデスクワークをしているのと同じになってしまうので、ぜひ脱力を心掛けて演奏するようにしてみてください。
参考までに、脱力の練習法を一つご紹介しておきます。
- まず鍵盤に手を置きます。
- それから、少し手前に引いて手を落としてください。力が入っていると落ちません。
これだけです。ストン、と落とせるようになれば、脱力感が身に付いてくるはずです。簡単なので、試してみてくださいね。
では、脱力ができれば問題解決!となるのでしょうか?
どうもそう簡単にはいかないようなのです。
巻き肩について
私が最近気にしている「巻き肩」という症状があります。肩甲骨が広がって、肩が前に出てしまっている状態を言います。
ピアノは常に両腕を前に出した姿勢で演奏するため、巻き肩は職業病のようなものと半ば諦めていたのですが、ここ数年、肩凝りや腰痛、頭痛などの不調と格闘しているうちに、巻き肩が原因の一つではないかと思い当たったのです。
調べてみると、やはり肩凝りの原因になったり、呼吸が浅くなるなどの影響があるとのこと。
これは、何としても治したい!
巻き肩矯正
ということで、目下、巻き肩矯正に励んでおります。
ここからは、そんな私が取り組んでいる内容をご紹介していきたいと思います。
まず、1年程続けている加圧トレーニングで行なっているメニュー。
- セラバンド(タオルやベルトなどで代用可)を広く持って、両手を上下に動かす。セラバンドは頭の後ろを通って背中の方に下がります。肩甲骨を中心に寄せて、セラバンドが後頭部にぶつからないよう頑張る。
- 同じくセラバンドを広く持って腕を前後に回す。肘が曲がらないように注意。
以上の運動で、肩周りはだいぶ軽くなってきました。特に肩甲骨周りはほぐれてきたようで、美容師さんにマッサージしてもらった時にも「張りが無くなってきましたね」と言われました。
それでも、まだ巻き肩は治らず。
肩甲骨周りがほぐれてきたことで、次に気になり始めたのが肩の前側です。
腕の付け根付近、鎖骨の下辺りが縮んでいる感覚があり、そこが伸びないせいで肩が後ろにいかないことに気が付きました。
そこは小胸筋という筋肉があるそうで、巻き肩矯正にはこの小胸筋の柔軟性が重要とのこと。
そこで、対策を取ることにしました。
まず、最初にマッサージボールを2個購入。
うつ伏せ寝で、両腕の付け根辺りにマッサージボールを当てて圧をかけます。
ただ寝転がってるだけなので楽ですし、そこそこ効果も感じられます。
でも、筋肉は自分で動かさないとダメなのでは?
と思ったもので、最近は朝晩のヨガを習慣にしています。
ヨガは10年ほど続けているのですが、元来怠け者なので、スタジオに行かないとやらない。というスタンスで、週1回、多くて2回くらいなものでした。
というのも、やっぱりインストラクターに誘導してもらった方がいいから、という理由だったのですが、最近は動画コンテンツが充実していて、ヨガレッスンの動画を検索すれば家でもちゃんとしたメニューがこなせるのですね。それに気付いてから、毎日のヨガ習慣が楽しく続けられるようになりました。
ヨガにも色々あって、1つのポーズに時間をかけてゆっくり動くものから、次々と流れるようにポーズを変えていくスタイルのものもあります。
私はもともと運動能力の高い人間ではないので、ゆっくり動く方が好きなのですが、中でも最近ハマっているのが「陰ヨガ」という超スローなヨガです。
1つのポーズを数分間キープする中で、徐々に身体の力を抜いていくというスタイルのヨガなので、続けていれば柔軟性がアップするかな、と思って取り組んでいます。
巻き肩矯正はまだまだ道半ばですが、少しずつ改善の兆しは見られるようになってきました。
私の巻き肩はピアノのせいだけではないかもしれませんが、やはりピアノを長時間弾く人は巻き肩になりやすいです。
そこから派生して様々な不調が出てくる可能性もありますので、「巻き肩は職業病」と受け入れず、ぜひ対抗策を講じてみてください。
この記事は、ピアノ教師・渡邊智子が書いたものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。